遠近両用コンタクトレンズとは

ここでは、「遠近両用コンタクトレンズ」について解説していきたいと思います。遠近両用コンタクトレンズは、一枚のレンズに近視用の度と遠視用の度が入っており、脳の視覚機能によって近くも遠くも見えるようになるとても便利なアイテムです。

なぜ一枚のレンズで遠近両方見えるのかと言うと、近くを見るときは脳が自然と手元を見るための近視用の度数を認識し、また同じように遠くを見るときは遠視用の度数を認識してよく見えるようにしてくれるからです。たとえば網戸越しに数メートル先に立っている人間を見るとします。遠くを見るときは、脳が遠くに立っている人だけを選ぶため、網戸はそれほど気になりません。また網戸に注目すると、今度は遠くに立っている人が目に入らなくなります。遠近両用コンタクトは、こういった脳の視覚機能を利用しているのです。

さて、遠近両用コンタクトレンズには、「交代視型」と「同時視型」の2種類があります。「同時視型」は、レンズがドーナツ状のいくつかの輪に区切られており、それぞれ遠用部・近用部・中間部に別れています。遠近両方の度数が網膜に映るので、視線を固定したまま遠くから近くまで自然な流れで見ることができます。同時視型には、ハードレンズとソフトレンズの両方が用意されています。

「交代視型」は遠近両用メガネと同じです。レンズの範囲の中でくっきりと近視部分と遠視部分が別れているので、近くを見るときは近視の度数が入った部分を、遠くを見るときは遠視の度数が入った部分を使います。同時視型と違い、見る対象物によって自分で意識して視線を動かす必要があります。しかしそのぶん、遠近ともに良い視力を得ることができます。なお交代視型はハードレンズのみです。

遠近両用コンタクトレンズは、眼鏡をかけずに外に出れる優れものです。しかしいかんせんコンタクトレンズは着用しているときの眼の健康状態などで見え方や視力が左右されます。アレルギー持ちの方などは、目にごろごろとした異物感を覚えることもありますし、また洗浄や保存液などといったケア用品なども一式揃える必要があります。最近のコンタクトレンズメーカーでは、1日使い捨てのソフトレンズ、2週間交換ソフトレンズなど、さまざまな種類のコンタクトを用意していますが、乱視の度数によっては在庫が用意されていない場合もあるので、注意が必要です。

遠近両用コンタクトレンズを使ってみたいと考えている方は、まず眼科できちんと自分の目の健康状態を調べ、そして試しに着けてみてから、使用するかしないかを判断しましょう。