老眼の進行を抑制させるために大切なこと

老眼の基本的な症状は、近くのものが見えづらくなってしまうことです。遠くにあるものは今までどおり見ることができるのに、近くにあるものに焦点をすぐに合わせることがなかなか難しくなってきたら要注意です。老眼は誰もが年齢とともにその症状を感じやすくなるものですから、完全に回復させるということは非常に難しいことかもしれません。しかし、早いうちから老眼に対する知識を持ち、老眼が早く進まないように気をつけることで、老眼の進行を抑制することはできるのではないかと思います。では、老眼の進行を抑制するために大切なこととはどういったことでしょうか?

老眼の進行を抑制するためには、老眼が水晶体の弾力が失われることによって起こるものだということを理解しておかなければなりません。一般的に眼の老化が進むと、水晶体が弾力性を失い、だんだん硬くなってきてしまうと考えられています。水晶体は人間の視力の25パーセントから30パーセント分の屈折力を担っています。水晶体には毛様筋(毛様体筋とも言います)と呼ばれる筋肉が付いています。遠くを見ているときはこの毛様筋がゆるんだ状態であり、近くを見ているときはこの毛様筋が縮んでいる状態になります。この毛様筋がゆるんでいるときに水晶体は薄くなり、毛様筋が緊張すると水晶体は厚くなります。ずっと近くのものを見続けているとこの毛様筋が縮んで、水晶体が薄くなっている状態が続いてしまうことになってしまいますので、若い人でも急に遠くを見たときに水晶体と毛様筋がすぐに反応をすることができずにかすんで見えてしまうことになります。厳密に考えますと、こうした状態と老眼の状態は、眼の疲労と老化になりますので、まったく違うものになっていると考えられますが、眼の中の水晶体や毛様筋の状態から考えれば、近いものがあると考えることもできるのではないかと思います。

水晶体が毛様筋と繋がっているということは、近くにあるものばかりを見て毛様筋を酷使し続けることは、眼にとってよいことであるといえないと思います。水晶体や毛様筋が凝り固まってしまうことは、疲れ眼や眼精疲労を引き起こしてしまうことになりかねません。疲れ眼や眼精疲労が長い間続いてしまいますと、老眼の進行に拍車をかけることになってしまうとも考えられます。老眼の進行を抑制するために、まずは疲れ眼や眼精疲労が起きないように注意をしていただきたいと思います。

ちなみに、眼精疲労とは疲れ眼の症状がさらに進行してしまい、睡眠を十分とっても眼がかすんだり、眼の奥が痛んだりする状態のことで、症状が悪化してしまいますと、頭が痛くなったり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。こういった状態になってしまわないように、長時間テレビやパソコンを見続けることのないよう、気を付けましょう。